住職の日記

毒を如何に征するか?

毒を如何に征するか?

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裏庭のセンリョウが色付きだしました。

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こちらはマンリョウですが、まだ色付いていません。

センリョウ、マンリョウともに、常緑に朱色が鮮やかで

正月に生けられる、縁起の良い木であります。

この赤と黄色が混ざったような朱色と言うのは、とても鮮やかですね。

お寺や神社の建物でも、こうした朱色のものがありますが

とても鮮やかであります。

…今年は高野山1200年祭でございますが、ご存知の通り

高野山は、この朱色の塗料の原料でもあります、水銀がたくさん取れる

山でもあり、今も根本大塔などは朱色鮮やかにそびえ立っています。

この塗装は色が鮮やかだけでなく、防腐の面でも優れていているのです。

また、奈良の大仏建立の際に、大量の水銀が用いられていて

金と銅を結合させる役割をしていて、当時この水銀は最先端の技術ではなかったでしょうか?

しかし、こうした水銀をとりすぎ、今で言う公害になり

環境破壊にも繋がっていったとも言われています。

水銀も、中毒性があるのですが、道教で不老長寿の薬とされてもいて

弘法大師様はご入定される際にこうした水銀を服用したのではないか?と

一説にはされています。

…こうした高野山の朱鮮やかにそびえ立つ、大塔は

我々人類に示す、知恵の象徴でも有ると思うのです。

つまり、毒を如何に征するか?

この世は「常に」新しい物が生み出されていきます。

もう、これは避けられない運命であり、その事実から目を背いた瞬間から

衰退が始まるのです。

しかし、そうした最先端の技術や文明を得ても、それに溺れてはいけません。

ですから、「智慧」が必要となり、それを象徴しているのが水銀の産地である高野にそびえ立つ

朱の大塔ではないでしょうか?

この智慧があるから、その毒をコントロールでき、初めて最先端の技術の恩恵に触れることができるのです。

…今、我々の身の回りを見ると、一家に一台TVだったのがもう大昔で

ネットの登場によって、一人にパソコンと言うかスマホが一台、と言うか

自分も情報発信できるという、昔じゃ考えられない豊かな時代にいるのです。

でも、当然副作用もあるのも事実であります。

しかし、こうした文明の発展は避けては通れませんので、如何に智慧を持って

征するか?ですね。

「毒」を仏の智慧を用いて「薬」として、周りの人に施していきましょう。

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