豊かに生きて行くためには普くに請う
何ともう蝉が脱皮していました。
こうした神秘的な場面に遭遇出来て、とてもうれしいです。
私も知らなかったのですが、蝉の寿命は一、二週間と言われていますが、実は長ければひと月ぐらいは生きれるそうです。
それでも、我々人間の寿命からしたら随分短いですので、一心に残された時間を謳歌してほしいですね。
さて、今日は毎年恒例地元の大草区の道直しが行われました。
こうして、ご近所さんが集まって何かの作業をする事は、毎年のこの道直しだけでございますが、
皆で道の掃除をしたり、溝のヘドロをとったりと、道も綺麗になり心がすがすがしくなりますし、ご近所さんとも交流が持てて、とてもいい事ですね。
話は変わりますが、お寺の建物を建てたり、改修する事を「普請」といいます。
普請は「普くに請う」つまりみんなに呼びかけて資金や労力を願うという意味であります。
普くというところがポイントで、みんなに呼びかけ、みんなでやるという事が大きな意味を持ちます。
今は個人の時代と言いますが、それをまともに受けてしまうと、自分だけで行うという意味として捉えられそうですが、そうではありません。
個人の特性が大切なのであって、その特性をいかんなく発揮するためには、他の存在を認め互いに協力し合って生きていくことが大切になります。
「私一人で何でもできる」「誰にも世話にならん」と言い張る人もいると思いますが、本当にそうなのでしょうか?
例えば今日食べた、お米や野菜は誰が作ったのですか?
便利な道具は誰のおかげで存在しているのでしょうか?
突き詰めていけば、今のこの豊かな生活は、様々な人の労苦があって成り立っているです。
一人として、自分ひとりで生きている人なんて存在しません。
そして、この世は無常で必ず老いていきます。
したがって、皆で支え合って生きていく社会にしていかなければ豊かにはなれないのです。
ですから、こうしてみんなで何かを成し遂げるという事を実践することが、とても大切になるのです。
みんなで協力し合えば、重い溝の蓋もすんなり開くし、時間もものすごく短縮できますし
皆で何かを成し遂げるという事がこんなにも達成感のあることだったのかと実感できます。
普請とは昔の人々が豊かに暮らしていくための知恵だったのですね。