住職の日記

物事の興廃は…

物事の興廃は…

近頃カメが多いです。

そして、意外と足も速いです。

さて、物事は衰退したり、興隆したりしますが、その原因は必ず人によると言われています。

つまり、やる人によって結果は変わっていくという事であります。

「あの人がいた時は良かったけど、変わってから全体の雰囲気が変わったね」とは世の中にはよくある話です。

そこで、如何に後世に「人」を残すかという事になります。

弘法大師空海様のお言葉に「物の興廃は必ず人に由る。人の昇沈は定めて道に在り」とあります。

後文の人の昇沈は定めて道に在りとあります様に、人は「道」を志すことが大切になるのです。

道とはすなわち、見返りを求めず、その行動を志すことです。

「これやったら何になるの?」「俺に得ある?誰得なの?」このような感じで、自分の行動に対しての対価を求めるというのが世の中の風潮であります。

しかし、これでは善いか悪いかではなく、おそらく何も続かないでしょう。

日本には「老舗」と呼ばれる、歴史の長い会社やお店がたくさんあります。

これは、一重に「金を儲ける」以外の社内理念というものが存在しているからではないでしょうか?

このお店のある街の発展、お客さんの喜び、などとお金を稼ぐという以外の理念を大切にしているからではないでしょうか?

これが、もし理念が存在せず、利益第一主義なら経営者が変わった瞬間「これ利益率悪いからやめて、駐車場にでもしようぜ」とさっさと終わらすことでしょう。

勿論それが善いか悪いか一概に言えませんが、途絶える事は間違いないのです。

しかし、この無常の世で一番価値のあることは「継続」であります。

人は生きているといいことばかりでなく様々な災厄に見舞われることがありますが、それを乗り越えて行く事に本当の価値があるのです。

そして、その災厄を乗り越える為には、先程申しました通り、その人に対価を求める以外の理念、つまり「道」があるかないかであります。

その心がなければ、「何だよ、割に合わねぇ」となり、さっとどこかへ行くことでしょう。

「見返りを求めない心」がどこかになければ、継続は不可能とも言えます。

よくよく見渡すと、日本で様々な歴史の長い会社やお店はありますが、ずば抜けて長いのが神社を除けばお寺であります。

お寺は言うまでもなく仏道道場であり、あらゆる道の基本であります。

それは何を意味するのかというと、見返りを求めない仏の心を持てば、この厳しい無常の世であっても

継続が出来るという事ではないでしょうか?

その心があるかないかで、興廃が決まるのです。

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