住職の日記

あっという間に…

あっという間に…

イチョウの黄葉も一週間くらいは楽しめるかなぁと思っておりましたが。

黄色く鮮やかに染まった美しい葉も、一度風が吹けばご覧のとおり

あっという間につるっぱげに。

「会者定離」という定めは何人も免れることのできないのです。

…仏教には「生死一如」という言葉があります。

我々は生と死を分別して考え、そして死を無意識に遠ざけようとします。

まぁ大切な人との別れなんて考えたくは無いですからね。

ですが、仏教ではそれをあえて一緒に考える事が大切だと説きます。

それは何故か?言うまでもなく「生」がボヤケるからです。

…いつまでもあると思っていると、無常の風がそれこそ無情に吹けば

この通りあっという間に散ってしまうのです。

ですから、我々は今を生きることが大切と、自覚できるのです。

苦は遠ざけたいのですが、それを受け入れたならば、反対に生きる力となるのです。

ですから、生死一如と解くのです。

出会いと別れも常にセットです、ですから、その人との時間が尊いのです。

いつまでもあると思うと、わがままになり、疎かになり、大切な事を

忘れてしまいます。

我々は失いたくないばかりにいい部分だけ得ようとすると、大切な事を失い

失うことを覚悟すると反対に大切な事を得られるのです。

吹き飛んでしまったイチョウの葉を見て、もっと楽しめば良かったなぁと感じました。

あと一週間くらいは有るだろうと思ったのが仇となりましたね。

こういう大切な事を見失わない様にするために、「苦」はあるもんだと

生きていかなければ、なりませんね。

そう思うと、今この一瞬一瞬が尊く、幸福であると、「生」がしっかりとくっきりとして

生きる力が湧いてきますね。

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