住職の日記

負けから得られる大勝利

今日は風が強く少し寒いですね。

寒が少し戻りましたでしょうか?

おかげで桜がしっかりと散って行きます。

この散っていく様が季節外れの雪のようです。

まさに桜吹雪。

桜は今年も本当に楽しませてくれました。

少し寂しい気がしますが。

…人生や何か物事を優劣、白黒、勝ち負けなどと決め付けたがる人がいますが

全くもって意味がないように思います。

我々はまず、無常という鬼には勝てません。

どんなに栄華を極めた人でも、生きている間は必ず生老病の苦しみからは

抜けられず、そして最後には死という番人が待っています。

ですから、そんな不毛な戦いは避けるべきです。

なんだったらいっその事、負けを認めたほうがいいでしょう。

その敗北を受け入れることで、本当の「生」が浮かび上がるのですから。

仏教では「生死一如」と言い生と死は表裏一体であるととらえるのです。

誰しも死は遠ざけたいものです。

しかし、そうして過度に死を遠ざけて、楽ばかりを貪ることは

生がぼやける原因になり、せっかくの命がくすんでしまう原因になるのです。

ですから、こうして死が有ることによって、命がここに存在しているだけで

尊いことなんだと、真の幸福が得られるのです。

つまり、人生の大勝利です。

こうした苦を認めなければ、あれがなければ幸せでない、これがないから自分は不幸だと、

自分で決めつけ、際限なく楽を貪り、叶わなければ怒り、身を自ら焦がすのです。

ですから、不毛な戦いはさっさと負けを認めて、大勝利を勝ち得ましょう。

これが本当の勝ち組ではないでしょうか。

桜が堂々と咲き堂々と散っていく潔さがよい姿を見て思ったことはそんなことです。

いちばん上に戻る