住職の日記

紅葉しよう

紅葉しよう

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菩提樹の木の葉が黄色く色付いて来ました。

これからだんだんと秋が深まっていきますね。

葉は寒くなると、葉の中の葉緑体の動きが弱まり、光合成ができなくなり

元から持っている赤や黄色の色素が表れ美しく色付くそうです。

一言で言うと葉の老化現象ですね。

…この「無常」ということを我々は深く理解しなければなりませんが

同時に一番遠ざけたい事実でもあります。

…世間では盛んに「アンチエイジング」という言葉が使われますが

いつまでも若々しいのはそれはそれでいいのですが、どうしたって我々は

その無常の理に従わざるをえないのです。

そして、その無常の理に逆らおうとすると、「苦」がひょっこり顔を出し

我々を苦しめ、そして自分のみならず、周りにも苦を運ぶのです。

ですから我々も「紅葉」することが大切なのです。

この世に流れる無常という理を受け入れることによって、本来持っている色素が

つまり穏やかな仏の心が浮かび上がってくるのです。

「年取ったからできない」と言って不機嫌になり、周りに当たり散らすのではなく、

してくれる人に「ありがとう」と一言、本当に一言伝える事で、多くの人が救われるのです。

修行は何も体を使って行うだけでなく、心を穏やかにしたり、こうした口(言葉)でも修行できるのです。

…迷いの中にいる人はすべてが逆さまに見えるといいます。

光が闇に、闇が光にすべて転倒して見えるのです。

若い時は時間はいつまでも有るように思い、すべきことをせず

反対に年老いた今と過去を悔いて、これまたすべきことをせず。

結局迷いの中にいる人は何時の時でも「今」すべきことはしないのがその特徴で

悟った者は、いかなる時も「今」すべきことをしているのがその特徴です。

もうお気付きでしょうが、光を浴びているのはこの一瞬一瞬であり

過去でも未来でも無いのです。

他のために働く事ができるのは、この「今」だけであり、それに喜びを感じることこそ、

悟りだと思うのです。

その真実を悟っただけでも、この世に生まれて大儲けであります。

どんなに私財を蓄えても、その事実を悟れないのなら、くるくる迷いの渦の中。

今は様々な情報や物が溢れ、豊かでは有るのですが、余計なものが多いのも事実であります。

ですから、真実に触れにくい時代なのかもしれません。

ですが、反対に言えば、その真実にさえ目覚めたら、道具や情報は身の回りに山程

あるので、便利と言えば便利かもしれません。

結局人は「気づく」か「気づけないか」なんでしょう。

そして、その気付きは皮肉にも常に我々が遠ざけたい、「苦」から得られるのです。

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