空を飛べない代わりに…
クマバチが花に群がっていました。
クマバチは「ぶーん」と羽を鳴らし、安定した飛行をします。
さて、今日は昨日も申しましたが元XJapanのhideさんの御命日です。
hideさんは数々の名曲をこの世に残していらっしゃいますが、その中でも遺作でもある「ピンクスパイダー」という曲は本当に印象に残ります。
この歌は、簡単にあらすじをいうと、「桃色の蜘蛛が、極楽鳥や蝶に憧れて、自分の巣に引っかかった蝶の羽を奪い、空を飛ぼうとします。
しかし、借り物の翼ではうまく飛べずに、まっさかさま墜落していく」という話です。
この歌からは「世の中甘くない」「絶望」という印象を受けますが、私は希望に満ちた歌に読み取れます。
私たちはついつい、他人の幸福を羨んだり、ここではないどこか遠くに幸せを追いやります。
確かに、空を飛べない蜘蛛にとっては、空を自由自在に飛び回る極楽鳥や蝶は美しく、自分にない物があり魅力的に映るかもしれません。
しかし、だからと言って、蜘蛛がそれらを得ようとしても、うまくいくはずがありません。
では蜘蛛は極楽鳥や蝶に比べ劣っているのか?不幸なのか?
そうではありません。
蜘蛛は空を飛べない代わりに、「自分で巣を張り獲物を捕まえる能力」が備わっているのです。
これは、極楽鳥にも蝶にもない才能です。
そして、その極楽鳥や、蝶が悠々自適に飛んで幸せなのかというと、それはとても大変です。
鳥は飛び続けなければなりませんし、「自由」ということは責任は全て自分でとらなければなりません。
外敵から身を守るのも、今日自分が食べるご飯を得るのも、全て自分です。
「悠々自適」とは程遠い世界であります。
そうとは知らず、蜘蛛は極楽鳥や蝶の優雅に飛ぶ姿だけに惑わされてしまい、飛んだはいいが、思わぬ弊害に遭い
墜落してしまうのです。
巣を張り獲物を捕まえる蜘蛛が、極楽鳥や蝶が張り巡らす妄想の巣に引っかかったところでしょうね。
ここまで聞くと、「絶望」や「失敗」と言った印象をうけますが、この歌の最後の方に出てくる歌詞を見ると印象が変わります。
「もう一度飛ぼうこの糸切り裂き自らのジェットで」
自らのジェットという事は、自分の備わっている、「糸を張り巡らし、獲物をとる」才能の事ではないでしょうか?
今は全てが顕かになった時代ではないでしょうか?
少し前までは限られた人しか幸せになれない、もっと言うと幸せになってはいけないなんて言う変な風潮でした。
「勝組」「負け組」こんな言葉まで生まれました。
しかし、インターネットやソーシャルネットなどが普及し、かなりの域まで顕かになったのです。
本当に様々な情報を得ることが出来るようになりました。
その結果、「○○でなければ幸せになれない」というのは一部の人の価値観に過ぎず
その人たちが張り巡らす妄想の巣だったのです。
この「ピンクスパイダー」という曲は、皆それぞれ尊い才能を持ち、幸福や苦労もそれぞれ違うんだという、希望に満ちた歌だったのです。
この時代はそこまでインターネットというものは普及しておらず、情報弱者だった私たちにとってこの歌は
雲に覆われた空から差した一筋の光だったのです。
妄想の巣に引っかからない為には、謙虚さが必要になります。
どんな状況でも幸せになる、感じ取ってみせるといった、執着が必要となります。
ない物を得ようとすると、心が曇り苦しみが生まれます。
こだわらず、幸せを感じ取って、楽しむ時間を増やしましょう。
皆がそれを実践すれば、この世は花に包まれるでしょう。