住職の日記

法の知らせ

法の知らせ

沈丁花の花の香りが春を知らせてくれます。

香木の沈香の匂いに似ていることから「自然界の線香」と言われています。

さて、この沈丁花の花言葉は「不死」「不滅」というものがあります。

「不死」「不滅」と申しますと、多くの人は「死なない」「減らない」というイメージを持たれると

思いますが、それが我々人間の心情でありますが、それではまずい捉え方かもしれません。

この世は無常で、常に変わり続けているのであります。

我々は一秒ごとに老病死に向かっているのであり、それはどうすることも出来ません。

またそれを、どうこうしようとすることによって苦しみが生まれるのです。

でも、この世に不死、不滅の薬は存在します。

それが仏法です。

でも、科学的に「死なない」とか物質的に「減らない」というものではなく

法に帰依することにより「生死」「増減」への囚われが無くなり

その苦しみから抜け出すことが出来るのです。

では、その具体的な方法はというと、方便に徹することになるのです。

ただ、その行動行為が利己的なものであれば、善いとか悪いとかの次元ではなく

まず、継続出来ないでしょう。

「私」の存在ってどうして存在していると思いますか?

それは、自分を認識してくれる人が目の前にいるから、そこで初めて存在できるのです。

ですから、どんな好きなことでも、その「好きなことをしている自分」を認めてくれる人が

いて初めて、その行いが成就し、満足できるのです。

従って、人の役に立つ行い(利他行)の中で「これだ」と自分に一番フィットする道を

一心に邁進することにより、自分への執着から来る「生死」の苦を振り払えるのです。

春の風に乗って漂う沈丁花の花の香りは法の便りなのかもしれません。

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