住職の日記

極端なバカ情報

極端なバカ情報

四季桜が満開に近づきました。

可憐な花がこれから寂しくなっていく境内を賑やかしてくれます。

葉が無くなり、寂しくなっていく様子を、例えると「無仏の世界」に例えられると思いますが

そんな時期でもこうして、真理を悟るものもちゃんと現れるのでしょう。

したがって、「この世は無仏の世だ」反対に「苦の無い極楽だ」と両極端な考えに

一喜一憂する生き方は、非常にもったいないように思います。

もちろん、地獄に思える部分もあるし、反対に狂乱するほどに絶好調の時もあると思いますが

その光と影という矛盾する混在する世界(密厳浄土)が我々のいる世界なのです。

先週TVを見ていたら、「この情報化社会、バカ情報をどんどん捨てましょう」と

言っておられました。

バカ情報とは、先ほど申しました極端な情報の事です。

これは悪い、これは善い、これでは不幸、これが幸せという、極端な「バカ情報」です。

こうした、情報をまともに受け入れると、せっかくの仏の光が雲(妄執)によって遮られてしまうのです。

このロスは誠に痛い。

…よくTVなどのCMで「あなたは大丈夫ですか?」とキャッチーなフレーズで呼びかけられて

「え?このままじゃダメなの?」と不安にさせられることがあるのですが

商売の基本は、人の不安、不満、などの「不」を物やサービスで解消するものであります。

つまり、企業側の情報と言うのは、我々が不幸であるという前提のものに流されているのです。

要は、我々は病人にさせられているのです。

従って、TVはだけでなく様々な情報は、病原菌でもあるのです。

まぁその毒をどのように制するかでも大事ですが。

こうした、掛け合いが知らず知らずのうちに行われているのですね。

仏の世界は、今すでにここにあるのですが、当然、苦が無いわけではなく

むしろ苦に満ちているわけですが、だからといって仏の世界は別に存在してるわけではなく

苦を方便によって乗り越えた先に、と言うかその中にあるのです。

その動きの中に確固たる自分も、折りたたまれていけば、苦を感じる自我が

引っ込むことになるので、「あれは悪だ!」「あれこそ正しい」と極端な情報に惑わされずに

済みますね。もちろん、自分が好きか嫌いかはという感情は残りますが。

好きと嫌いと、正しいとか間違っているは、別個です。

昔、青汁のCMで八名信夫さんが「不味い!もう一杯!」というCMがありましたが

あれは今思うと、素晴らしいCMですよね。

見事に、光と影を包み隠さず、表現していますよね。

ですが、そんなご丁寧に、情報出すところばかりじゃないですから

こちら側が、そのような心得が必要となります。

昼でも夜でも、雨でも雪でも、確実に御仏の光に我々は照らされているのです。

それは、我々が如何なる環境に居ようと、確実にです。

方便とは、何も体の動きだけでなく、言葉でもいいのです。

年老いて、体力がなくなっても、言葉を仏様のように正せば、残りの行動と心が

整い、心の中から、極楽浄土が出現するのです。

例えば、「年老いてできない!」と愚痴るのではなく、代わりにしてくれる人に

「ありがとう」とこの一言で、どれだけの人が救われるのでしょうか?

年齢、環境、にかかわらず、どんな人にでも、できる行は有るのです。

従って、極端な情報に惑わされ、落ち込んだり、狂乱したりせずに

まず、今すべきことの中から、できることを、しましょう。

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