住職の日記

怖いけど手を放そう

怖いけど手を放そう

今日の夕方の空。

確実に空が秋になっていきます。

さて、多くの方が勘違いされておられていると思いますが、この命は元々は我々の所有物じゃありません。

借り物で、当然いつかは返さなければならない物であります。

その証拠に無常による老病死をどうすることも出来ません。

その自覚がないから、自分の体、命への自我が働き苦しみが生まれるのです。

真言宗を開かれた弘法大師空海様のお言葉に「迷語 己にあり 執なくして到る」という言葉があり

自我への執着を離れる事が大切であると仰られているのです。

元々自分の物でない物を、自分の思う通りにする事自体が間違いで、それが苦しみの原因になっているのです。

「自分」という存在から、手を放し、次の境地に行く事が大切になります。

空中ブランコでも次のブランコに行く為には、空中で手を放し、身を投げ出さなければなりません。

しかし、当然怖いです。

だってやっぱり嫌です。

自分の事大切ですもの。

しかし、だからこそ手を放す必要があるのです。

そのまま、踏みとどまり、ブルブル震えていても、無常の風を回避することは不可能です。

勇気をもって手を放し、自分への執着を離れた境地に降り立つ事こそが、この世で本当の幸福にたどり着くには必要であります。

冒頭で申しました通り、我々の命は借り物であります。

従って大切に使わなければなりませんし、全うしなければ勿体ありません。

その為には、どうしようもない無常による老病死にとらわれる事のない

手(自我)を放した先に存在する境地降り立ちましょう。

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