住職の日記

モロコ寿司

モロコ寿司

親戚からお千代保稲荷のモロコを頂いたので、もろこずし。

甘辛く、そして少し苦味があり、とても美味しいです。

さて、とても美味しいモロコですが、昔は濃尾平野のあちこちの水路でも取れたそうですが今は

除草剤や水質汚染によりモロコが取れなくなり、他県のモロコを仕入れているそうです。

こうした我々人間の利便の追求は、他の生命を脅かすこともあります。

誰かの喜びが誰かの悲しみと申しますように、「不増不減」というように

何も増えても減ってもいないのです。

この間地蔵寺にお参りに来られた方が、「赤とんぼが飛んでる!」「昔にタイムスリップしたようだ」と

おっしゃられていました。

地蔵寺の周りはまだ、田んぼがあるので、ヤゴが生息しやすいのか、赤とんぼもヤゴも飛んでいますが

今、農業の合理化に伴い、除草剤の改良や大型機での稲刈りをするために水を抜いたり

畦道を減らすことによって、トンボが生息できなくなっているそうです。

赤とんぼという秋の風物詩が今絶滅の危機に瀕しているのですね。

赤とんぼを、秋津とも言い、昔時の権力者が、山頂から日本の国土を見下ろした時に秋津が交尾している

姿に見えたらしく「秋津島」と表現されたそうです。

その日本の異称をとった秋津が減っている、地域によってはもうすでにいなくなっている。

そのトンボの減少とは関係あるかどうか分かりませんが、今人との繋がりは希薄になったと言われています。

秋津(とんぼ)のトナメ(交尾)をご覧になられた方もおられるかもしれませんが

互いの尾を咥え合い「輪」になって飛んでいるのです。

「結い」と言う言葉がありますが、これは田植えや、稲刈りなどの作業をそれぞれが互いの力を

出し合って行う共同作業のことを言います。

その田んぼの繁栄がトンボの繁栄に繋がり、トンボの繁栄が稲に付く害虫の駆除に繋がり

そして、稲作の「結い」で人々が繋がり、すべてが輪となり繋がり、国家繁栄となっていったのです。

トンボが減少し、少子化問題やうつなどの心の病を抱える日本。

すべての元凶はこうした合理性に基づいた、町作り、考え方によるものではないでしょうか?

西洋では、このトンボを「魔女の針」などと呼び不吉な虫とされていたそうです。

しかし、日本では縁起のいい虫として重宝され、国の繁栄の象徴。

日本の健康を測るパラメーターが今も昔もなにやらこの「秋津」にありそうです。

その為には、不退の土壌を人々の心に耕し、皆が生かされる世界を作らなければならないのですね。

そうでなければ、永遠に増えても何かが減り、本当に満たされる事はないのです。

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