住職の日記

カブレの木の葉が…

カブレの木の葉も綺麗に紅葉します。

これ櫨(はぜ)紅葉と申すそうです。

普段カブレの木ということで、忌み嫌っていているのですが

本当に綺麗です。もしかしたら、モミジよりも色が濃くて綺麗かも。

…我々は何か悪いものに目を取られ、その本質に目が行き届かなくなることがありますが

本来、衆生(命あるものすべて)は皆仏性を秘めていているのです。

残念ながら、それに気付かず、自暴自棄になって悪の道に走ってしまうのです。

もちろん、悪い部分もあり、それは皆がそうであるのです。

つまり、この世は善いものと悪いものがあるのではなく、善と悪で全てが出来ているのです。

どちらか一方だけで存在しているものなんて、本来はないのです。

地獄も極楽もこの世に存在していてそれらの世界が混在しているのが

我々の住むこの世界(密厳浄土)なのです。

ですから、好き嫌いは有るかもしれませんが、自分が好きだから、正しい、善いとか

嫌いだから間違っている、悪いという判断は穏やかではありませんね。

…「あいつ細かいよなぁ」「あいつ大雑把だよなぁ」「あいつ引っ込み思案だよなぁ」

我々はこうして悪い部分をクローズアップしますが、裏を返せば

細かいは律儀、大雑把は大らか、引っ込み思案は謙虚という長所でも有るのです。

…ですが大半は、そうした本質に行く前に、その手前で判断しがちですが。

ですから、全ての存在に善い所と悪い所があるんだという、智慧が必要になるのです。

これが無ければ、突然悪くなったり、善くなったり、心がコロコロ安定しません。

そんな心で、穏やかに暮らせるはずがありません。

カブレの木ってことだけで、普段忌み嫌っているのですが、こうして

美しく紅葉するカブレの木の葉を見て、「一切衆生悉有仏性」という言葉が浮かんできた次第であります。

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