住職の日記

エゴノキ=ヤマガラ

エゴノキ=ヤマガラ

エゴノキの実がなりました。

エゴノキの名前の由来は、この実が口にいれると、「えぐい(えごい)」ということから来ているのです。

今は禁止されていますが、この実の皮にサポニンと呼ばれる有毒な成分があり

すりつぶして、所謂麻酔のような役割で、魚の捕獲に利用されていたそうです。

エゴノキの実は夏から秋にかけて熟されていくのですが、この実をとりに来るのが

ヤマガラという鳥です。詳しくはこちら

この実は先ほど申しましたように「えぐみ」があるので他の鳥はとりに来ないのですが

どうして、このヤマガラはとりに来るのかというと、ヤマガラは貯蔵散布をする鳥であり

こうして固い実を樹皮などに貯蔵することができ、実が熟し殻が破りやすくなるまで保存し

両足に実をはさみくちばしで殻を破り中の種子だけを食べるのです。

この殻は固く、そのまま地面に落ちただけでは発芽がしにくいそうで

つまり、このヤマガラの種の散布なしにして、このエゴノキの繁栄は考えられないのです。

そして、ヤマガラも餌が乏しい冬場を越す為の食料となるのですね。

ヤマガラ=エゴノキと言っても過言では無いでしょう。

正に持ちつ持たれつの相互関係であります。

それって我々にも言えることですよね?

「自分」という存在は他の存在があっての自分であります。

両親がいて、祖父祖母がいて、ご先祖様がいて、地域の方がいて、いろんな方の尽力があって

自分という存在が成り立っているのです。

つまり、いろんな供養を受けているのです。

「いや違う、自分は自分一人の力で生きているんだ」と思われる方もおられるかもしれませんが

どうあがいても、我々は様々な供養を受けて、生かされているのです。

その事実をいつ受け入れ、悟れるかが大切であります。

これが、早いか遅いかで大きな違いは出てきますね。

もし、ヤマガラがいなくなれば、エゴノキはいずれ絶えてしまいます。

我々の心には菩提心という悟りを求める種が誰もが備わっています。

ただ、エゴノキの実同様に、固くそのままでは発芽させることが出来ません。

従って、外因的な要因が、殻を破る為には必要なのです。

要は我々が仏(幸せ)になる為には、自分一人だけの力ではダメだということですね。

「自分一人の力では無理」という事実にいつ気づくか?

逆に言ったら、それってどんな時に感じるのか?

私が思うに、「挫折」「失敗」「苦難」という我々が避けていきたいものに直面したときではないでしょうか?

そうした際に、生かされているんだとか、周りの存在に感謝(懺悔)が出来るのでしょう。

本当は初めから知っていれば良いのでしょうが、知っていても理解とは言わないので

どうしたってこればかりは仕方ないでしょう。

ですから、「かわいい子には旅をさせろ」「若いうちの苦労は買ってでもしろ」と言うのでしょう。

早めに何か行動をして失敗したり、挫折を味わうことによって、縁起の法則の法則に早めに

気づくことが出来るのですね。

その真理に早くに気づけたら、幸せな時間を増やすことが出来るのです。

そう思うと、今は便利な時代になりました。

人と殆ど接しなくても、豊かな生活が出来ますから。

ただ、豊かって物質的に豊かって言うことです。

逆に言うとそれを豊かに感じられる心があっての、豊かさであるということなのです。

つまり、貧しく苦難の時代を知っていての豊かさであるということですね。

じゃあ、それを知らない人は中々豊かさを感じる事が難しいのでしょう。

という事で、便利な時代だからこそ、困難な事に挑むことが大切になるのでしょう。

そこで、自分の力の限度を感じるのでしょう。

そこからが、ある意味修行の第一歩なのです。

まぁ、そうはいっても、頼まれずとも、苦難は向こうから勝手にやってきますし

それを避けられる人はいないので、取り敢えず苦を超えてこそ、真の幸福があるんだという事を

肝に命じておきましょう。

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